強迫性障害を克服するための自助グループ〜森田療法理論によるメンタルヘルス活動
NPO法人
生活の発見会
関東第一支部
東京Bブロック
強迫性障害関連の本|生泉会
1.自己との対話を深めるために
――体験者から学ぶ強迫神経症の対処法、私たちの回復の物語――生泉会編集・発行
2011年6月発行、80ページ、定価500円(※会員限定、本部取扱い)
この小冊子は、長年悩んできた仲間(世話人10数名)の体験記集です。
長く強迫神経症に悩んだことから、私たちは発見会、生泉会でさまざまなことを学んできました。2011年、生泉会発足から15年が経過したことを機に、「私たちの回復の物語」として小冊子に取りまとめました。
本書に記した私たちの苦闘と協力の物語が、皆さんの立ち直りに少しでも役立つことができればと切に願っています。
この小冊子は、「体験記集」発行の約2年後に同じメンバー
が執筆した「技法集」です。富士山の頂上を目指すときに、いろいろなルートがあるように、強迫の乗り超え方にもいろいろな方法があると思います。
いろいろと試してみて自分に合った方法を取り入れてください。辛いときには薬を使いながらでも一度試してみて下さい。
一部をご紹介します。
いろいろと試してみて自分に合った方法を取り入れてください。辛いときには薬を使いながらでも一度試してみて下さい。
一部をご紹介します。
1.ダブルで悩む(一つに絞らない)
2.その不安は「反対観念」かも・・・※反対観念と判ることで確認地獄から脱出。
3.五感を信ずる
4〈確認した〉という事実にすがる
5.はからえども、とらわれず
6.超低空飛行
7.小さくそっと手を出す
8.気持ち悪いままに手をつける。嫌々ながら手をつける
9.文書を末尾から読む――読書恐怖の人へ――
2.その不安は「反対観念」かも・・・※反対観念と判ることで確認地獄から脱出。
3.五感を信ずる
4〈確認した〉という事実にすがる
5.はからえども、とらわれず
6.超低空飛行
7.小さくそっと手を出す
8.気持ち悪いままに手をつける。嫌々ながら手をつける
9.文書を末尾から読む――読書恐怖の人へ――
3.『強迫神経症の世界を生きて』
――私がつかんだ森田療法――明念 倫子著
2009年3月 白揚社発行
本書は、生泉会の中心的な存在である明念倫子さんによる、ご自身の長年にわたる壮絶な「強迫行為」体験と、それとの和解にいたるまでの苦闘の記録であり、同じ悩みを持つ人々に希望を与える書でもあります。
著者は、森田理論の中で一番役に立ったものとして、迷わずに「精神の拮抗作用」(反対観念)を挙げております。反対観念とは、たとえば、戸締りやガス栓の場合であれば「閉まっている」と思うと同時に「もしかして閉まっていないのではないか」というものです。
著者によれば、これはもともと人間に必要なバランス作用なのです。「閉まっている」と思うと、必ず「閉まっていないのではないか」というふうに、反対の心がセットで出てくる。実は森田先生が言っていたのですが、われわれはこれを知らなかったために、確認地獄にはまってしまったのだと。
同じ体験をした方ならば、「なるほど、そうだったのか」と納得し感動することでしょう。著者は体験者として、「強迫行為の悩みは、他とは比べものにならないほどの苦しみ」だと述べています。その著者の悩みの一端を紹介します。
若いころ司法試験の受験生だった著者は、毎日曜日ごとに模擬試験を受けていましたが、連日のガス栓の確認という強迫行為で疲れ切っていたという。
いよいよ試験の当日、本番でのこと。そのころの司法試験は3つの試験からなっていて、それは短答式試験でのこと。一冊の「試験問題集」を解き、その全解答を一枚の解答用紙(マークシート方式)に書き写していたときだった。
ここでも、「正確にマークできているか?」という確認に時間を取られてしまい、せっかく答えを出しているのに解答用紙に書き写す段階で手間どり、結局、解答を書き写しきれず不合格になったという。そのうえ、雑念恐怖や「横にあるものが見えて集中できない」という悩みも抱えていて、何年もそのような状態がつづいたという。
著者は、エピローグの中で、強迫行為に振り回されている自分を許せなかったばかりか、貴重な人生を「無駄にしてしまった」という後悔にさいなまれていたという。それが次第に真剣な求道の日々へと向かわせ、宗教哲学者・清沢満之(1863〜1903)の書物に偶然出会い、それまで思い込んでいた「人生に正解がある」ことの誤りに気づく。同時に、「強迫症の悩みが、人生苦からの解脱という普遍的な問題とつながっていたのか。そうであれば、強迫行為に彩られた自分の半生にも意味があったのだ」、と、たとえようのない悦びで全身が満たされたという。
この気づきこそ、「私が強迫神経症と和解した瞬間だった」と述べている。それから、まもなく法曹への道をキッパリあきらめることができたという。
強迫症を持っていた著者は、長年の苦闘からつかんだものを、同じ悩みをもつ人々にわかりやすい言葉であらゆる機会に発信しているが、それらのすべてが本書に網羅されている。それだけに、強迫症のわれわれ当事者の胸に重く響く。同時に、この言葉は体験した当事者でなければ語れない言葉であろうと思う。もったいない話である。だからであろうか、著者の言動には、当事者だけでなく専門家も関心を寄せている。
いずれにせよ、困ったときにすぐ開けるように、生涯そばに置いていただきたい書物である。きっとお役に立つはずです。とくに強迫行為に関しては、われわれ当事者側にさらに研究していく道が残されていると最近感じています。
4.『森田療法で読む強迫性障害』
――その理解と治し方――北西憲二・久保田幹子 編 2015年3月 白揚社発行
【著者】
北西憲二、久保田幹子、井出恵、川上正憲、黒木俊秀、畔柳園子、舘野歩、立松一徳、中尾智博、中村敬、橋本和幸、樋之口潤一郎、明念倫子
◎本書の特色
1.北西憲二、久保田幹子、中村敬、立松一徳といったお馴染みの先生など、13名が執筆している。その中に生泉会の明念倫子さんも。
2、本書の構成は第一部と第二部からなる。
第一部の「森田療法で読む『強迫性障害』」は総説で理論編となっている。
第二部は実践編で、入院森田療法と外来森田療法でのさまざまな強迫性障害の事例が述べられており、最後に自助グループの役割について報告されている。
北西先生は、先に第二部の実践編を読んでから第一部を読むように勧めています。
明念さんは第二部の最後で、「自助グループとのかかわりでどう変化していくか」と題し、その中で、「治さないで症状を超えていく、それが森田療法の目指す道」と述べています。また、自助グループでの「体験者相互学習」は、初心者だけでなく、ベテランにも有意義であるとし、阿部亨先生の言葉を引用しています。